入社50年目の大ベテラン。入社以来、機械場を担当。戦前からのベストセラー「淀の味」などに携わる。

仕事内容を教えてください。
私はこの機械場の担当です。「淀の味」は今もこの機械でつくっています。
「淀の味」は戦前からの商品ですよね?
そうですね。松前屋の代表格である「とこわか」が昭和29年ですから、それよりも随分と前ですね。「淀の味」は、昔も今も固定のファンが多い、まさしくロングセラー商品です。
(淀の味をつくる機械は)歴史を感じさせますね。
私の入社が昭和35年(1960年)で、今の工場が出来たのがその1年後の昭和36年。その時からもうこの機械はありました。工場長に聞くと、この機械は昭和32年からあったと聞いています。だからもう50年以上ですね。
先程動いているところを見ましたがまだまだ現役ですね。
元気ですよ!機械の手入れもちゃんとやってますし。手入れは、主に食用油でしています。食品を扱う機械ですからね。当然といえば当然。でも今の機械のようにコンピュータ化されているわけではありませんが、本当に長い間活躍してくれています。
手入れをしているとはいえ、本当に元気な機械です。
機械を動かすと言っても動かすのは人の心でしょう?やっぱり美味しいものをたくさん、お客様の所へ届けたいって思っているわけで。その心が機械にも通じているんだと思いますよ。


機械に入る前工程は手作業でしたね。それも心が入っているように見えました。
はい。今日、見てもらったように材料をプレスするのもプレスした昆布を切るのも全部、手作業です。最近では機械化されている所がほとんどですが、松前屋では昔ながらの職人の作業です。見ていると非効率的に見えるかもしれませんが、これが一番早いし、おいしくつくれますね。
機械に入れる直前の機械のネジの締め方も・・・
あれもコツがいりますね。最初、手で締めてから、梃子(てこ)で締める。そこで、また余分な昆布を手でカットするんですが、締め具合を間違うと、うまくいきません。
佐野さんはどうやってこの仕事を覚えたんですか?
私はずーっとこの機械専門で仕事をしていますが、最初は職人さんのそばで、その職人さんがいい仕事ができるように、下ごしらえをさせてもらってました。昔の職人さんは本当に厳しかったです。なので本当に神経使いました。失敗すると「お前のせいで少ししか(商品が)できんかったやないか!」って(笑)振り返ればその毎日の緊張感が今の自分をつくってくれたんだと思います。また、周りの人にも支えられたから、1つのことをずっとコツコツあきらめずにやってこれたと感じています。


後継者はいらっしゃるんですか?
今、若いスタッフがいて(手切りの)稽古しています。そのスタッフは他の仕事(角切り)もしているので、空いた時間でしか教わることができませんが、一生懸命やっていますよ。
私も今年で65歳になりますが、やっぱり伝統は後継者に受け継いでもらいたい。後継者をつくるのが使命やと思っています。だからできる限りその使命を全うできるよう頑張りたいと思っています。




